サライ編集長インタビュー「雑誌とインターネットの楽しみ方」[後編]
〜サライ創刊20周年記念 特別対談(後編)〜
サライの創刊20周年を機に開始した『ウェブサライ』。このウェブサイトを共同で立ち上げたニフティの今村 隆社長への編集長インタビュー。『サライ』とニフティの意外な共通点が浮き彫りになりました。
河内:『サライ』は、変わらないものを変わらない姿勢で取り上げてきた雑誌です。逆にインターネットの世界は目まぐるしく変わっていきます。今村さんは、どんなことをお考えなのですか?
今村:ニフティは、パソコン通信の時代からお客さまと向き合っています。当時パソコン通信をしていた方々が40歳、50歳になり、新しい人生を踏み出そうとしているとき、ニフティとして何ができるかということです。
技術革新が激しく、目まぐるしく変化するなかで、変わらずに大切にしてきたものは何か、それを新たに作れるということが重要だと思っています。今までニフティは「安心安全」とか、「老舗」であると言われてきました。しかし、「老舗」は、新しく出てきてもすぐには名乗れないし、その信用は一朝一夕には築けない。「老舗」は悪いことをしたら長続きしませんから、お客さまを裏切らないところは堅持することが重要だと思っています。
河内: そこは『サライ』も変わらないですね。
今村:インターネットの世界では次々と新しい事業者が現れますが、5年後、10年後も生き延びているかどうか、いまの勢いのまま続けていられるかどうかわかりません。私たちは、その盛衰を見てきていますから。そういう中で常にお客さまのそばにいて困ったときには手助けする、ときには新しい提案もする。変わるものを扱うけれども変わらないものもしっかりと持つことが肝心だと思っています。
これからのインターネットは、電気、ガス、水道、電話とならぶ“生活インフラ”になっていると思っています。常にインターネットと繋がっていることが当たり前の時代です。水ならば蛇口をひねれば出るし、電気ならコンセントを差し込むだけ。でも、現在のインターネットは残念ながら、まだそうはいきません。パソコン、周辺機器、回線それぞれを提供するところを行ったり来たりさせられることは少なくありません。こうした中で、お客さまが本当にインターネットに繋がるところまで案内し、安心そして安全に使えるようなことを保証していくことはとても大切なことです。いまインターネットのことをニフティに聞く人は多いと思うのですが、そのうちに水道の蛇口が壊れたからニフティに電話をしてみようか、子どもが病気になったけれどどうしようということまでニフティに聞いてみる。そんな役割を果たせるようになれたらいいと思っています。

河内:それは、お客さまときちんと向き合っていくということですね。実は私たちも緊張感を持って読者と接しています。編集部にはたくさんのお手紙をいただいていまして、なかには『サライ』をじっくり読み込んでいて、「これはこうじゃないか」などと愛情溢れるご指摘をいただくこともあります。創刊当時からの読者の方も少なくありません。
今村:なるほど、本当にニフティと『サライ』は共通点が多いことを改めて知りました。『サライ』の読者でニフティの会員という方も少なくないのでしょう。ありがたいことです。また、読者以外の会員の方にも、『ウェブサライ』を通じて『サライ』のような本物の世界を知るきっかけにしていただきたいですね。
河内:『サライ』は変わらない物事を変わらない姿勢で伝えている雑誌ですが、その読者もITに興味を持つ方が増えているし、生活にも身近になってきている。ウェブサイトならば、もう少しいろいろな表現もできると思うので挑戦をしていきたい。たとえば、自動車やパソコンなども試した結果が読者とやり取りができたり、情報交換の場として活用していただいたり。『ウェブサライ』には、いろいろな可能性があると思っています。

今村:インターネットという情報空間の旅には、いろいろな発見があります。最近、私が気になっていることは、世の中には正解がひとつだけ存在していると思っている人が増えてきていることです。そもそも正解かどうかという判断基準自体が変かもしれない。もしかしたら、正解は何通りもあるかもしれないし、世の中にはないかもしれない。正解を探す旅ではないのです。そうしたことを『サライ』が扱っているテーマに助けを借りながら伝えていきたいですね。
河内: 私たちもがんばりますので、よろしくお願いします。
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■今村 隆(いまむら たかし)
昭和24年8月14日生まれ。山口県出身。名古屋工業大学工学部卒業。昭和48年、富士通入社。平成18年にニフティに移り、本年6月社長に就任。趣味は、ドライブなど。
■河内真人(かわうち まさと)
昭和36年7月14日生まれ。北海道出身。早稲田大学第一文学部卒業。昭和61年、小学館入社。平成15年サライ副編集長、プラチナサライを経て、本年4月サライ編集長着任。趣味は、ラグビー及び伝統芸能やクラシック音楽の鑑賞など。
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