第2回 新生『木枯し紋次郎』とともに当時の時代の空気も甦ってくる
フィルムの1本1本を
目で見て確認する根気作業
難しいと思われていた古い映像のハイビジョン化。それを可能にする職人たちの技。第2回目では、その具体的な作業を追っていく。
フィルムは、まず職人たちが全カットを1本1本手に取り、目で見て確認をする。ここでは肉眼でもわかる汚れやゴミ・ホコリなどを、専用の薬品を浸みこませた布で拭き取っていく。こうした履歴も、前述のカルテに記録されていくのだ。
「最終的なデジタル処理は、あくまでも仕上げとしての作業。まずはお客さまから預かったフィルムをきれいにして、映っている内容がしっかり甦るようにすることが肝要です。そのためには、まずフィルムの全体を見て確認していきます」(東京光音取締役所長の松本一正さん)
ときにはフィルムの継ぎ目が剥がれかけている場合もある。その際は、丁寧に補修していく。また、次の工程でクリーニングマシンにかけるための準備として、フィルムそのものや、パーフォレ-ション(フィルム両端にある孔)の補強も行なう。この作業も人間でなければ出来ない作業だ。
「職人というと年配の方を想像するかもしれませんが、当社は若手をしっかり教育して、彼らにも作業を任せています。本当に根気がいる作業なので体力が要りますし、この技術を長期間安定的に維持するには、若手を育てていかなければいけないからです。歴史的価値の高いフィルムは、まだまだ世の中に眠っている。そういうものを甦らせる使命感もありますので」(松本さん)
職人の願いから生まれた世界に1台のクリーニングマシン
次に、フィルムの細かい汚れやカビを除去するクリーニング作業を行なう。この作業が出来栄えの8割を握っているという。以前は職人が手で行なっていて、所長の松本さんすら駆り出されることも少なくなかった。これでは次々と発掘される映像を甦らせたいという需要に応えられないため、苦心したあげくクリーニングマシンを開発した。世界に1台しかないもので、現在特許申請中だという。
「手作業をしていたころ職人たちがかかりっきりの日が続いた時もありました。だいたい15分作品に約7~8時間かかりましたから。なので、なんとか機械化できないかと考えて、コツコツと機械の開発に着手したんです。あまり詳しくはお話できませんが、最後の微妙なところがうまくいかず、どうしても人がやる作業のような品質が得られなかった。でも試行錯誤して、その問題がクリアできてしまったんです。大きな責任を与えられたような気分でしたね」(松本さん)
この機械の開発に成功した結果、1回あたりのクリーニング時間は、60分作品であれば60分、リアルタイムで済むようになった。通常、この作業を2~3回繰り返す。ただフィルムによっては汚れが取りきれないこともある。『木枯し紋次郎』のフィルムの中にも、保管場所は同じなのにも関わらず、4回、5回とクリーニングを行なったものもあるそうだ。また、『木枯し紋次郎』のフィルムではないが、フィルムが劣化していてクリーニングマシンにかけられないこともしばしば。そんなときは、以前と同様に職人たちが手作業でクリーニング作業をする。こんな作業をしていくうちにフィルムに対して愛着が湧いてくる、と松本さんは話す。
「この作業を経ると、カラキズ(映写機にかけたときに出来てしまう擦りキズ)が除けることもあるんです。お預かりしたときよりも良い状態になるので、本当に嬉しいんですよ」
(以下、3回目に続く)
■関連記事
中村敦夫が語る、“木枯し紋次郎の時代”とは
小室等が語る主題歌『だれかが風の中で』誕生秘話
第1回 撮影した瞬間の映像美とリアリティーを甦らせる、こだわりの超絶技術とは?
第3回 薄型大画面のハイビジョンテレビにも対応した映像処理を行なう職人たち
ハイビジョンで甦った“紋次郎”で感動し、“紋次郎”好き仲間と語らいあった神保町の夕べ
「株式会社 東京光音」
古いフィルムの状況に対応した修復技術とシンテル社(英国)のテレシネを使用し、色・濃度補正をカットごとに行い高画質、高品質のデジタル映像の復元を行う会社。
「特集」カテゴリの記事
- 「サライブロガー」のご紹介 第19回(2010.08.01)
- 「サライブロガー」のご紹介 第18回(2010.07.31)
- 「らくらくニッポン探訪」が始まりました(2010.07.21)
- セシールの人気商品、「リアルサプリ」を8名様にプレゼント(2010.07.21)
- 新発売の「目隠しノート」を7名様にプレゼント(2010.07.21)



































コメント