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2009年11月17日 はてなブックマーク - JR九州『あそ1962』での旅このエントリーを含むはてなブックマーク Twitterにつぶやく

JR九州『あそ1962』での旅

Photo_3   映画「三丁目の夕日」以来、昭和30年代ブームはいっこうに収まる気配がない。JR九州ではついに“昭和”イメージの鉄道車両まで現れた。その名は『あそ1962』、ちなみに数字は型式番号ではなく、タネ車となったキハ58の製造された年からとったものだとか。「なにも、改造しなくても昭和ではないか」と思ったが、なにはともあれJR九州熊本鉄道事業部で『あそ1962』を見学した。

 この車両は『あそ』とあるように、熊本から豊肥本線の宮地まで走る阿蘇山展望の観光列車で、かつては蒸気機関車列車『あそBOY』が同じ区間を走っていた。
 さて熊本駅に隣接する広い車庫に停められている2両編成の『あそ1962』は見事にクロかった。JR九州の車両デザインで腕を振るう水戸岡鋭治氏によるリニューアル車で、その黒地(というか濃い焦げ茶色)にゴールドのラインがひかれた車体は高級チョコのような印象。車内も板張りの床や木製テーブルつきの座席、自転車を持ち込めるサイクルスペースや窓向きのカウンターがある展望車、のれんの間仕切りなど水戸岡色満載のレトロモダン列車。昭和30年代というより、和風旅館のような装いだった。とはいえ天井にはなつかしのJNR(日本国有鉄道)マークの扇風機もそのままで「これ、ちゃんとまわります」と案内してくれたJR職員。彼に聞くと「このキハ58+キハ28は昔の急行用気動車で、じつは廃車予定でした。われわれも旧型車は手がかかるので『長い間ご苦労様』と思っていたらいきなり復活しちゃって」と笑う。

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左上/キハ58とキハ28の2両編成は、かつて全国のローカル線で見られた。右上/木がふんだんに使われた『あそ1962』の車内は、温かみに溢れる。左中/車内には自転車を固定できるスペースが設けられている。右中/間仕切りに「のれん」が使われているのが珍しい。左下/「JNR(Japan National Railway=日本国有鉄道)」マークが未だ残る車内の扇風機。

 ところでこの熊本の車庫だが、構内のあっちこっちに09年春に廃止となった寝台特急『はやぶさ』の切り離されたブルートレインの客車が停まっていて、鉄道好きとしても落ち着かない。あれどうするの?と聞くと「ま、いろいろ使い道もあってね」と気になる返事(その後、ブルートレインの客車列車が肥薩線を越えるツアーが発表された)。

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左上/今年引退したはずのブルートレイン用の車両を発見! ピカピカに磨かれていた。右上/片隅に置かれていた、これもブルートレインのものと思しきクーラー装置。左下/いまJR九州で一番話題の『SL人吉』号が、すぐ隣を駆け抜けていった。右下/石炭を運搬するショベルカーには、かつて走っていたSL『あそBOY』の名が……

 そうこうしているうちに構内から蒸気機関車列車『SL人吉』号が出発していった。ブルトレに蒸気、お宝満載の熊本の車庫。線路の脇には蒸気機関車用の石炭を集積したピットもあってこれは「インドネシア産の輸入炭」と、黒々とツヤのある石炭を一個お土産に頂いた。それをみてびっくり。石炭を包んでいた布はしはなんと、寝台車に使われていたJR模様の古浴衣だった。(続く)

●あそ1962 3月~11月の土曜休日運転。熊本駅10時12分発、豊肥本線宮地駅折り返しの快速扱いで1日1往復運転。運賃のほかに座席指定料金が必要。

■杉崎行恭(すぎざき・ゆきやす) 西に廃線になりそうな鉄道があれば、行って乗客数を増やす助けになり、東にオンボロのプロペラ機があれば、行ってこわがらなくてもいいとみんなに言う、あらゆる乗り物を愛するフォトライター。『日本の鉄道車窓100選』(新潮新書。共著)など著書多数。ウェブサイト「http://sugizaki.oline.jp/」も適宜更新中

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