紅葉の箱根で美術館を巡る
首都圏からの交通も至便で、平日でも賑わう箱根。早川渓谷や強羅公園などの紅葉が、真盛りを迎え、鮮やかに色づく自然美が堪能できます。さらに箱根は美術館が多い地。美を紡ぐ作家の作品を前に静かな時を過ごされてはいかがでしょう
箱根で美術館が集中するのは強羅・仙石原周辺です。彫刻作品の野外展示などで知られる『箱根彫刻の森美術館』をはじめ、『箱根ラリック美術館』、『ポーラ美術館』など、美食のカフェ・レストランを備えた女性に人気の施設が点在します。
今回訪ねたのは、ポーラ美術館です。ポーラグループのオーナーである鈴木常司氏の40余年に渡る蒐集品、約9500点から成る美術館です。ルノワールやモネなどの印象派の作品を中心に、日本の洋画や日本画、ガラス工芸など、秀逸な作品が並びます。さらに化粧品会社の美術館らしく、19・20世紀の銀製化粧セットや香水瓶など古今の化粧道具といった興味深い展示もあります。建物も、周辺の環境に溶け込むように建てられ、箱根の森の中に佇む感覚です。とりわけ、カフェ「チューン」の大きな窓からは、真紅に色づいたモミジを目にすることができ、一幅の絵画のようでした。
2010年3月7日までの企画展は、「ボナールの庭、マティスの室内」と題し、2人のフランスの画家の作品を中心に、庭と室内という日常の空間の魅力を伝えています。
もうひとつ、『成川美術館』を紹介します。こちらは日本画の名作を展示する芦ノ湖畔にある美術館です。高台に位置しているため、美術館からは芦ノ湖を取り囲む箱根の山々、箱根神社の赤い鳥居、晴れた日には秀麗な姿を現す富士山という、絶景が楽しめます。展望ラウンジの総長50mの一面のガラス窓の前では、曇天にもかかわらず、あちこちから大パノラマへの賛辞が聞こえてきました。
12月15日まで開催の展覧会は、本誌『サライ』でもお馴染みの堀文子さんの「命というもの」展が開かれています。伝統的な日本画からイタリアの田園風景、中南米シリーズなど。堀さんの数々の代表作が所狭しと並びます。そして82歳のときにヒマラヤを踏破し、描いた『幻の花 ブルーポピー』。思いがけず出会った堀さんの生命力溢れる名画に力づけられました。
美術館めぐりのあとは、箱根の豊かな湯で散策の疲れを癒してください。箱根十七湯、いずれも魅力ある温泉ばかりです。
ポーラ美術館
http://www.polamuseum.or.jp/
成川美術館
http://www.narukawamuseum.co.jp/
■ライター・関屋淳子
『サライ』現役ライター。酒と桜をこよなく愛する虎党。女性トラベルライターの旅情報発信サイト『旅恋.com』代表。
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