「犬山城」と茶室「如庵」
名古屋駅から名鉄で約30分、犬山市には2つの国宝があります。ひとつは天文6年(1537)、織田信長の叔父にあたる織田信康が造営した犬山城、もうひとつはやはり信長の実弟で茶匠だった織田有楽斎の手による、茶室・如庵。信長ゆかりの2つの建造物を訪ねてみましょう。
国宝の城というと華麗で壮大な姫路城や彦根城のようなイメージがありますが、犬山城はあれっと思うほどこじんまりとしています。しかし、簡素な佇まいながら、美的センスが光る城です。天守は地上4階、地下2階、正面には独立型の堂々たる唐破風があり、目に留まります。花頭窓という寺院建築に用いられる優美な窓(実際は窓枠だけですが)も備わります。
最上階の望楼には廻縁がめぐらされ、1周することができます。眼下の木曽川や長閑な城下町を一望。風は冷たいですが一国一城の主の気分になれます。じつはこの城は木曽川を背に急峻な崖の上に立つため、背後から攻められる恐れがありません。堀を何層にもめぐらせる必要がないのです。木曽川の対岸、岐阜県川から城を見ると、小ぶりながら威圧感のあること。丘と城が一体となって見え、「ちょっと攻めるのまずくない?」と感じるのです。
戦国時代から国盗りの要所で、城主は次々変わりましたが、江戸時代には成瀬正成が城主となり、成瀬家は平成16年に財団法人に移管するまで城主を務め、犬山城は日本で唯一個人所有の城でした。さらにこの城は濃尾地震や伊勢湾台風などの被害を乗り越えてきました。城にまつわるエピソードを知ると、よりいっそう、城めぐりが楽しめます。
犬山城から歩いて約10分、名鉄犬山ホテルに有楽苑があります。有楽苑には国宝茶室の如庵をはじめ、重要文化財の旧正伝院書院、古図により復元された元庵などがあります。
如庵は織田有楽斎が元和4年(1618)頃、京都の建仁寺の塔頭・正伝院を隠居所として設けた茶室です。明治以降は東京の三井家本邸から別邸の大磯へ、そして昭和47年に、有楽斎の生まれ故郷であるこの地に移築されました。内部は2畳半台目で有楽窓と呼ばれる窓もあります。そして壁の下の腰張には古い暦が貼られています。
普段は非公開ですが、春と秋の一般公開、さらに解説付きの特別見学会などが定期的に開かれていますので、ぜひ内部も見てください。また、正月には元旦から初釜も開かれます。新しい年を茶の湯で寿ぐもの素敵ですね。
有楽苑・如庵
http://www.m-inuyama-h.co.jp/urakuen/index.html
■ライター・関屋淳子
『サライ』現役ライター。酒と桜をこよなく愛する虎党。女性トラベルライターの旅情報発信サイト『旅恋.com』代表。
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