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古くから鹿の棲む安芸の宮島を歩く

A  今年、遷都1300年で盛り上がっている奈良には、神の使いといわれる鹿がいます。同じように鹿がシンボルといえば、日本三景のひとつとして知られる「安芸の宮島」も有名です。一説によると島が形成された当初から棲息していたといわれるほど古くからいる鹿なのですが、奈良の神鹿が国の天然記念物に指定されているのに対し、宮島の鹿は“野生”の鹿という扱いにすぎません。

 宮島は、世界文化遺産に登録されたこともあり、連日多くの観光客が押し寄せるせいか、人に慣れきった鹿はまったく動じることなく、人に寄ってきます。手に食べ物を持っている時はとくに要注意です。気をつけて鹿と触れあうようにしましょう。そして鹿の歓迎を受けた後には、厳島神社へ向かって歩き始めます。

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 厳島神社は、緑濃い弥山(みせん)原始林を背景に、海にそびえる大鳥居と、波打ち際に広がる朱色の社殿が印象的な歴史的建造物です。海、山、社殿とがとけあった神々しいばかりの姿を眺めるだけでも、心が洗われるような気分になります。現在の社殿の基礎となっているのは、仁安3(1168)年に平清盛によって造営されたもの。両流造りの本社を中心に、客(まろうど)神社や能舞台などが、いくつもの橋や廻廊で結ばれ、華麗な寝殿造りを見ることができるのです。潮の満ち引きによって刻々とその景観を変えるのも見ものです。
 フェリーの着く宮島桟橋から厳島神社までは、右手に大鳥居を眺めながら海岸沿いを行くルートと、食事処や土産店が連なる表参道商店街のルートがあります。商店街では、名物の焼きガキやもみじ饅頭の実演販売がここかしこで行なわれ、足が止まってしまうこともたびたび。
 賑やかな表参道散策も楽しいのですが、あまりの観光客の多さに辟易としてしまうことも。その時は一本山側に入った町家通りがおすすめです。表参道の喧騒がうそのように静かで、白壁や出格子の町家がひっそりと並びます。小粋なカフェや食事処、雑貨店なども点在。通りから眺める五重塔もしっとりと古い町並みに映え、思わずシャッターが切りたくなりますよ。



■ライター・山本厚子
旅行会社勤務を経て、ライターに転身。おもに旅行ガイドや情報誌などで執筆。女性トラベルライターの旅情報発信サイト『旅恋.com』のメンバーとしても活動中。

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