イタリア料理で知る、島豆腐の魅力
全国各地で、地の素材をいかしたフレンチやイタリアンのお店が脚光を浴びていますが、私のおすすめは沖縄のこのお店。那覇の公設市場近くでオープンから11年目を迎えた『てだこ亭』です。「てだこ」とは、「うちなーぐち(沖縄弁)」で「太陽の子」という意味。まさに、太陽をいっぱい浴びた島野菜はもちろん、市場を彩る色鮮やかな魚たちが、沖縄料理とはひと味違ったアプローチで味わえます。
女性シェフの飯塚みどりさんがたったひとりで切り盛りしている小さなトラットリアは、いつも予約でいっぱい。評判を聞きつけた観光客のみならず、地元の人々でもにぎわっているのは、おいしさに加えて、敷居が高くないこと。家族で訪れれば、オジィやオバァが食事しやすいようにとお箸を並べてくれる、とても気さくな雰囲気なのです。
このお店ではいつも、沖縄の食材の奥深さを知ることになるのですが、初めていただいたときに衝撃を受けたのは「島豆腐のカプレーゼ」。沖縄料理のゴーヤーちゃんぷるーに入っているあのしっかりした豆腐をモッツァレラーチーズに見立ててトマトと和え、オリーブオイルと塩、黒こしょうで味を付け、イタリア料理の定番に仕上げたものです。一見、豆腐サラダのようですが、さにあらず。島豆腐の濃厚な旨味が、トマトとバジル、良質のオリーブオイルに引き立てられていて、モッツァレラチーズに負けない存在感。島豆腐だけを単体で味わうと、そのものの塩気が強いということも新たな発見でした。
実は島豆腐は、本土の豆腐とはつくり方が異なります。私たちが見慣れている本土の豆腐は、呉汁(浸水した大豆を水と共にすり潰したもの)を煮てから濾し、おからを除いて固めます。一方で島豆腐は、呉汁を煮ないでそのまま濾し、先におからを除いておいた汁を煮て固めます。しかも、店先に並んだできたての島豆腐は「あちこーこー(熱々)」。スーパーに並んでいる島豆腐も、手で触るとほかほかなんです。『てだこ亭』では、公設市場の一角に店を構える『瑞慶覧(ずけらん)食品』の豆腐を使っていると教えてもらい、保冷バッグで東京に持ち帰った「がちまやー(食いしん坊)」は私です……。
「島豆腐のトマトクリームパスタ」も『てだこ亭』の人気メニュー。他にも、彩りのいい島野菜のパスタ、7月に解禁になった島ウニのパスタ(運がよければ島ウニが入荷しています、ミョウバン不使用!)、伊江島産小麦のフォカッチャ、地鶏ときのこのテリーヌ、島の魚のアクアパッツァ……などなど、書いていても食べたくなってくるメニューが盛りだくさん。早くも、次回の訪問が待ち遠しいです。
『料理工房・てだこ(^o^)亭』
http://www.tedakotei.com/
住所:沖縄県那覇市松尾2-11-4
電話:098・860・0150
営業時間:18~20時(L.O.)※要予約
定休日:月曜・火曜(日曜ランチ、月1回水曜・木曜も休み)
■ライター・大沼聡子
『サライ』では、食の記事を中心に執筆するライター。
『京都のお酢屋のお酢レシピ』、『にほんの食ごよみ』(以上、アスキー・メディアワークス)、『伊藤忍のやみつきアジアごはん』(河出書房新社)など、料理書の企画・編集も多数。
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