宮崎「大吟醸を楽しむ会2010」報告
1年に1回、宮崎で開催される「大吟醸を楽しむ会」(7月4日)に行ってきました。この会は平成10年に始まり、今年で13回目を迎えます。
会場となる宮崎観光ホテルの開場は600人ほど収容できますが、毎回チケットは売り切れ状態。プレミアムがつくほどの人気なのです。その理由は、それぞれの酒蔵の顔である大吟醸が飲み放題だから。さらに蔵元持参のとっておきのつまみ、宮崎の50種類を超える海幸・山幸、さらに全国の美味・珍味なども食べ放題。もちろんデザートには完熟マンゴーなどもてんこもりという豪華さです。
今回は、北は北海道から南は宮崎まで37蔵元が参加しました。まず蔵元ひとりひとりが壇上で挨拶したあと、恒例の祝い樽の鏡開き。このとき各蔵元は会場の壁に沿ってコの字型に配置された各ブースに引き上げます。ところが乾杯もまだ始まっていないのにブースに人だかりが。何事かと覗いてみると、熊本から参加の「千代の園」が持ってきたつまみが熊本名物・馬刺し。しかも毎回極上物なので、常連たちは我先にと目の色変えて集まってきたのです。「50人前は持ってきた」という馬刺しがあっという間になくなり、蔵元も目が点。それでも「馬刺しだけでなく、うちのお酒とあわせてみてください」と懸命にお酒を注いでいたのが印象的でした。もちろん私も負けじと馬刺しを入手。注がれたうすにごり酒のフレッシュな奥深い味わいに、馬刺しの甘味の乗った旨さが溶け合い申し分ありません。
乾杯のあとは、各ブースはもう人の山。華やかな香りと切れの良さが評判の『南部美人』(岩手)と合わせるバクライ(ホヤの塩辛)は、ここでしか食べられないほどの稀少品です。世界最高峰のワインコンクールの日本酒部門で、ただひとつチャンピオン・サケに選ばれた『出羽桜』と、ちび丸小茄子の組み合わせも絶品。さらには3年連続「プロが選ぶ鰻にあう酒」日本一にも輝いた『西の関』と、地元の海の宝物・国東味つけ蛸は相性抜群。などなど、入場の際にもらったお猪口を片手に各ブースを回りながら、蔵元の話と、美味しいお酒とおつまみに酔うひと時はまさに天国。途中、各蔵の美味しい仕込み水が味わえるのもこの会ならでは。
しかし、お猪口に一杯ずつ飲んだとして、37蔵元回るとなんと6合ほども飲む計算になります。それでも皆さん、宮崎牛のステーキも、出張カウンターの豪華にぎり寿司も、マンゴーのデザートもしっかり食べる食べる。盛り上がりを見せた、宮崎の初夏の一夜でした。これで入場料1万円はお得です。
岩手『南部美人』の酒のつまみ・バクライ。ほやの風味を損なわない絶妙な塩加減に酒もすすむ。
高知県『司牡丹』の蔵元・竹村昭彦氏は袴にブーツ。坂本龍馬風のいでたちで登場。
前夜祭では三遊亭一門のトップ、三遊亭鳳楽師匠(右)の恒例寄席も開催。鳳楽師匠も大の日本酒好き。左は筆者。
■ライター&利き酒師/田中宏幸
おいしい日本酒の伝道師となるべく、冷酒や搾りたてに始まり、錫ちろりの燗酒、さらには熟成酒・古酒などなど、毎晩毎晩五合の日本酒を、人生の使命として楽しんでいる利き酒師ライター。著書『米作りからこだわる とっておきの名酒』(小学館)ほか。
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