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【昭和が目にしみる】第9回:ネット古本屋さん奮戦記(後編)その1

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■大手の宿命とニッチの居心地
「アマゾン」で本を注文しようとしたとき、もし絶版だったら。そんなときは自動的に古本の在庫と古書店がリストアップされる。こうして新刊と古本が同じ「店」で買えるようになってずいぶんになる。

 このあおりをもろに食ったのが、新刊のベストセラーを扱えず、古書だけを地道に商ってきた、ネット古本屋さんだった。ネット古書店をネットワークし、〝インターネット古書店街〟を構築してきた古書モールの草分け「紫式部」(サイト名は「スーパー源氏」http://sgenji.jp/)を経営する河野真さん(54歳)は語る。

「2004年直後から『アマゾン』や『楽天』(現在古書不扱い)がインターネット古書市場に参入。規模の大きさが魅力のこうした大手にずいぶんうち の加盟店が流出し、売り上げも落ちた。商売やめようかと思いました。みんな削り、社員の数も減らし、最小限の規模になりました」

 河野さんは開き直った末にあることに気がついた。アマゾンは売り上げを伸ばすため巨大化し、もはや書店の枠を超えて、ネット通販産業になろうとして いる。これは「本が好き」で仕事をしている自分たちとは、道が違うのではないか。自分たちに大事なことは、「本から離れない」こと。

 大きな風が吹 くと、その風に乗りたくない人も増えてくる、と思う。風に乗って安心したい人と、風に乗ってしまうと不安になる人が、ふたつの陣地を行ったり来たりしてい る。だからメジャーはメジャーになったときから、その船を下りる人が出はじめる。河野さんたちは、下りた人たちを迎える側に立ち位置を決めた。

 不思議なことに、ある時から「紫式部」から大手サイトへのネット古書店の流出が止まった。ふたつの陣地に暮らしてみて、河野さんたちのモールのほうがい居心 地がよかった、という人たちも戻ってきた。河野さんは今、「とにかく本が好き」という顔が見えるニッチ(愛好家市場)な場における、出会いやネットワーク に希望を見出している。「もちろん経営者ですから数字は見ます。でもアマゾンと比べたりしない。アマゾンのせいにもしない。うちがこれまで何でやってこら れて、これから何ができるか、何をやったら面白そうで、本が好きな人たちと一緒に楽しめるか、ということですね。いまは徹底的に「本」に特化し、いろいろ なアイディアをやってみて、それを商売につなげていこうと思っています」


■サライ編集部 副編集長 井本一郎

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