“東京の野菜”で夏を満喫
東京・西荻窪駅から徒歩で10分程、住宅街の一角にひっそりと佇む和食店『たべごと屋 のらぼう』。うっかりすると見落としそうな路地裏にあるにもかかわらず、連日満席という人気店です。骨董街の西荻窪らしさを感じさせる器使いや、季節の花や野草をあしらった盛りつけは、訪れるたびに素敵な感動がありますが、やはり最大の魅力は、店主の明峯(あけみね)牧夫さんが毎日、近隣の三鷹市の菜園で仕入れるという新鮮な野菜を使ったお料理です。
夏野菜をたっぷり味わおうと訪れたこの日の突き出しは、ポテトサラダ風に仕立てたおからのサラダ。じゃがいもの代わりにおからを使うという発想に驚きますが、とうもろこしやトマトなどの野菜の甘味がしっとりしたおからでまとめられて、意外なおいしさです。豚肉と大葉を薄切りのなすで挟んだ酒蒸しは、ボリュームがあるのにさっぱりといただけて、まさに夏向きの一品。彩りも美しいとうもろこしと枝豆のかき揚げは、ごくわずかな衣でつないでからりと揚げられ、夏がギュッと凝縮したような濃い甘さです。こんなおいしい野菜が東京で育てられていることに、うれしくなってしまいます。
シャキッと歯ごたえよくゆであげた三尺ささげと海苔の和え物、味噌の風味のきいた米なすのチーズ田楽……と箸が進み、最後のおたのしみは、土鍋で炊いた穴子と枝豆のごはん。しょうゆのこうばしい香りがぷんと立ちのぼると、じゅうぶんお腹は満たされているのに、また食欲が刺激されてしまって……。食後には、色とりどりの果物をちりばめたブルーベリーと西瓜の爽やかなシャーベットまでいただいてしまったのでした。ちなみに、お料理を出す間合いの絶妙さも、このお店が支持される理由のひとつ。揚げ物なら揚げ立てを、蒸し物なら蒸し立てを。目の前のお料理の進み具合にも細やかに気を配ってくれるおかげで、本当に心地よく食事をたのしめるのです。
できるだけ早めに予約をして訪問したいこちらのお店ですが、近ごろ話題の「ツイッター」を始めたそうです。「今夜ののらぼう、満席となっております。空きが出るのは遅い時間になりそうです」「若干の空席がございます。お早めにどうぞ」と、その日の予約状況をお知らせしてくれます。また、「例年より早く茄子の皮固くなる」などという、料理人ならではの季節感が溢れる日常のつぶやきも興味深いもの。食材の顔ぶれが変わる秋は、どんなお料理でたのしませてくれるのでしょうか。
■問い合わせ先
『たべごと屋 のらぼう』
住所:東京都杉並区西荻北4-3-5
電話:03・3395・7251
営業時間:17時~23時(L.O.)
定休日:月曜
http://twitter.com/nora_bo/
■ライター/大沼聡子
『サライ』では、食の記事を執筆するライター。
『京都のお酢屋のお酢レシピ』、『日本の食ごよみ』(以上、アスキー・メディアワークス)、『伊藤忍のやみつきアジアごはん』(河出書房新社)など、料理書の企画・編集も多数。
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