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テレビドラマと向きあう~奥田瑛二の“挑戦”と“冒険”~

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 WOWOWは2月13日(日)夜10時から、俳優の奥田瑛二さんが監督・主演を務めたドラマ作品『ビート』を放送します。
 奥田瑛二さんは、数々の映画やドラマで活躍する個性派俳優として知られますが、その一方で映画監督としても意欲的に活動しています。2001年公開の『少女』で映画監督としてデビューし、2006年には、監督第3作目にあたる『長い散歩』で『第30回モントリオール世界映画祭グランプリ』『国際批評家連盟賞』『エキュメニック賞』の3冠を獲得しました。
 映画監督として世界に認められた奥田さんですが、テレビドラマの演出は今回が初めてといいます。インタビューの中で、映画監督としての視点から見たドラマの現状と、それに対する自身の挑戦について語ってくれました。

――今回テレビドラマの演出は初めてと伺っていますが、監督としてテレビドラマの演出に対して、どのような印象をお持ちでしたか?

画面の演出に関して気になっていることがありました。それは、最近のテレビドラマはクローズアップを多用し過ぎている作品が多いということです。クローズアップというのは意味も無く撮ったりしないものなのですが、あまりに多いので驚きました。
加えて、最近のテレビドラマを観ていて感じていたのは、“音楽ドラマ”かと思うほど、最初から最後まで音楽が鳴りっ放しの作品ばかりということです。僕が思うに、演出家とプロデューサーが役者と大衆を信用していないんでしょうね。役者を信用していたら、音楽を付けるべきところがハッキリと出てくるものですし、大衆を信用していたら、そんな作品は作らないですよ。

――確かに、音楽が逆に邪魔になってしまって、物語の内容が一向にわからないと感じるものもあります。そういう傾向に一石を投じたい?

そうなんです。そういう作品を観ると「ちゃんと伝えろよ」と思いますね。
ですから、今回初めてテレビドラマを撮るに当たって、作り手の人たちに、もう一度“テレビドラマとは何か”を示せるように作品を撮ろうと思いました。

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――演出する際、テレビドラマと映画では、どんな違いがあったのでしょうか?

まず「画角」の違いです。当然ですが、映画のスクリーンとテレビの画面では大きさが違いますよね。ましてテレビは至近距離で観るわけですから、同じ演出でも見え方が変わってきます。テレビのサイズに合うように撮らなければならなかったわけです。

――具体的に苦労した場面は?

クローズアップのシーンですね。元々映画のサイズでのクローズアップの使い方というか撮り方はわかっていたので、そこに“引き出し”を作るという意味で、テレビサイズの撮り方を体に染み込ませようと思いながら臨みました。そこが一番気を使いましたね。“映画的イズム”を持ってテレビドラマを撮ることを求めた僕が、そこを気にせずに作品を撮ったら命取りですから。

――作品でワルツのような3拍子の音楽が使われていたのが印象的でした。これはどんな狙いがあったんですか?

自分の中で、今回の作品のテーマは「3拍子」というのがありました。
あまり意識したことはないかもしれませんが、普段の生活でよく耳にする音楽は8拍子や16拍子など、ほとんどが4拍子か、あるいは4の倍数が基本だと僕は感じています。人の生活のリズムに合う音楽というか、聞き慣れた音楽というのは大体4拍子のようなんです。
それとは違って、3拍子の音楽というのは、常にどこかせわしない印象を与える音楽なんです。
だから、普段聞き慣れない3拍子を当てることで、家庭と仕事との調和を取ろうとしても取れない、主人公のアンバランスに揺れ動く心情を表現出来ると思ったんです。

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――ドラマでは珍しいですよね

そうでしょうね。スタッフもほとんどが、3拍子の劇版というのを観たことも聞いたことも無かったですから。3拍子のように聞えるものはありますが、よく聞くとオルガンが入っても、アコーディオンが入っても、全部4拍子なんですよね。最初に「3拍子をメインで使う」と伝えたときは、「本当に3拍子で大丈夫か?」とみんな疑心暗鬼になっていましたよ。
当然、普段聞き慣れないものだけに、観た人が気持ち悪さを感じるかもしれないという懸念はありましたね。それをクリアできているかは蓋を開けてみないとわかりませんが、自信はありますよ。
とにかく「3拍子の音楽を使う」ということは、今回の作品を作るうえで僕にとっての一番の“冒険”でしたね。
手前味噌ですが、自分では、新しい風を吹かせてやったぞ! という思いがあります。

――最後に、サライ世代へ本作品を通じて何か伝えたい事があったらお願いします。

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僕自身も近い世代なので、そういう実感を持って言うと「家族の絆」や「親子の絆」でしょうね。
われわれの世代の家庭は、思春期を越えた息子や娘を持っているところが多いと思うんです。僕の経験も踏まえて話すと、父親というのは親子の関係から往々にして逃げがちだと思う。そのとばっちりか、ひとりで火の粉を浴びるのが奥さんだったりするんです。
喧嘩や罵り合いもあるだろうけど、逃げないでしっかり娘や息子と向きあうことが大切です。すべてが壊れる前に普段から努力を積み重ねていかないといけません。
ただ、それに気付き、行動を起すのは、長い人生の中で早いとか、遅いとかはないと僕は思うんです。中年層の男性陣がこの作品を観た時に、フッとそういうものを感じてもらえたら、作り手としてはうれしいですね。

 警察ドラマでありながら、一人の刑事の家庭の姿にも焦点を当て、夫婦間や親子間で生まれる、様々な想いを丁寧に描いたドラマ『ビート』。『家庭で大切な事』を気付かせてくれる作品です。
 この機会にぜひご覧ください。

『ビート』の詳しい情報は、下記URLからご覧になれます。

■WOWOW ドラマW公式サイト
http://wowow.co.jp/dramaw

■WOWOW ドラマW『ビート』スペシャルサイト
http://wowow.co.jp/beat

撮影/高仲建次

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